監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム 取締役
CFPⓇ認定ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
100世帯以上の顧問FPをし、延べ相談実績は400回を超える。

SNSやYouTubeで「NISAはデメリットしかない」「損するからやらないほうがいい」「国が始めた施策には裏があるからやめとけ」――SNSや動画でそんな言葉を見かけて、不安になっていませんか?
この記事では、新NISAの仕組みをきちんと整理したうえで、デメリットといわれる理由の背景と、本当のメリットを丁寧に解説します。
監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム 取締役
CFPⓇ認定ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー
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まず、新NISAとは何かをひと言でいうと、「投資で得た利益は、通常は約20%の税金がかかりますが、それが非課税になる制度」です。株や債券、投資信託などで利益が出ても、NISA口座内であれば原則として税金が引かれず、利益をまるごと手元に残せます。

2024年からスタートした新NISAは、それまでの「一般NISA」と「つみたてNISA」が一本化されたものです。全体の概要は以下の通りです。

旧制度(一般NISA+つみたてNISA)が一本化され、つみたて投資枠(長期・積立・分散向け)と成長投資枠(個別株・アクティブ投信など向け)の2つを併用できるようになりました。年間の投資上限はつみたて投資枠:年間120万円。成長投資枠:年間240万円で合計で年間最大360万円まで投資可能です。生涯の非課税保有限度額(総枠):1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)。制度が「恒久化」されたました。一見複雑そうに見えますが、「長期の資産形成をしやすくするための税制優遇」という大枠だけ押さえておけば大丈夫です。細かいルールは、実際に口座を開設しながら少しずつ理解していけば十分です。
「NISAはデメリットしかない」という言葉がSNSなどで広まっている背景には、いくつかの理由があります。それぞれ、背景とともに正しく理解しておきましょう。
NISAはあくまで「税金が優遇される制度」であって、必ず利益が出たり、投資元本が保証されているわけではありません。基準価額が下がれば、投資した金額を下回ることもあります。これはNISA特有の欠陥ではなく、投資そのものが持つリスクです。
課税口座(一般口座・特定口座)では、投資で損失が出たとき、他の口座の利益と相殺(損益通算)したり、翌年以降に損失を繰り越したりして税負担を減らすことができます。しかしNISA口座ではこの仕組みが使えません。これはデメリットといえばデメリットですが、そもそもNISAは「非課税」の口座なので、利益に対して税金がかからない分、損失との相殺の必要性もないという整理ができます。
特につみたて投資枠では、金融庁が定める基準(信託報酬の上限・運用実績など)を満たした投資信託のみが対象です。すべての商品が買えるわけではありません。これは「投資初心者にリスクが高いファンドを買わせない」ための施策ですが、投資に慣れた人には物足りなく感じるかもしれません。
年間最大360万円、生涯で1,800万円という上限があります。1,800万円以上の資産を持つ方にとっては「全額をNISAに入れられない」と感じることもあるでしょう。今後上限の引き上げはあるかもしれませんが、青天井の場合には、富裕層が何億円も非課税にできてしまったり、国として税収が大きく減ったり、制度の公平性が崩れることが安易に予測できます。そのため「ここまで」という枠が設けられています。またNISAの最大の目的は資産形成支援が目的のため、投資のスタートとしてのある程度の上限に抑えられていることもあります。
NISAは1人1口座しか持てず、金融機関を変更するには手続きが必要です。開設した金融機関によっては、選択できる商品が限られるため、安易に勧められるがまま口座開設するのではなく、最初に口座を開設する金融機関をしっかり選ぶことが大切です。
SNSでは「NISAで損をした」「NISA損切り」といったワードが時々トレンドにあがります。これは、人は「得した喜び」より「損した痛み」を強く感じるという心理(行動経済学でいうプロスペクト理論)から来ています。スタート直後、相場が下がったり、本来の目的とはずれた短期売買したケースが共有されやすく、実際よりもネガティブな印象が広まりやすいのです。
2023年以前の旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)から新NISAへはロールオーバー(自動移管)ができず、いったん売却してから新NISA口座で買い直す必要があります。この「ひと手間」が不満の声につながっているケースもあります。
これらのデメリットは「新NISA独自の欠陥」というより、「投資には値動きリスクがある」「税制優遇制度だからこそ一定のルール・制限がある」という性質から来ています。では、それでもNISAにはどんなメリットがあるのでしょうか?
それでもNISAにはどんなメリットがあるのでしょうか?
通常、運用で得た利益(売却益・分配金)には約20%の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出た場合、通常は約2万円が税金として引かれますが、NISA口座内なら丸々10万円が手元に残ります。長期で複利運用するほど、この差は大きくなります。
年間最大360万円・生涯1,800万円という枠は、旧NISAと比べて大幅に拡大されました。また、制度が恒久化されたことで「期限」を意識せずに焦らず、自分のペースで長期積み立てができます。
つみたて投資枠の対象商品は金融庁の基準を満たしたものに限られており、手数料が高すぎる商品や短期投資向きの商品は外されています。投資初心者が「長期積立に向かない商品」を選ぶリスクが抑えられています。
毎月数百円程度からでもスタートでき、時間をかけてコツコツ積み立てる投資スタイルと非常に相性がよいです。つみたて投資枠は積立での買い付けが基本となっており、コツコツ積立ていくことで時間を味方につけ、投資に慣れていきやすい制度です。
単刀直入に言ってNISAを活用しない手はないです。「NISAはデメリットしかない」は誤解です。確かにデメリットは存在しますが、長期・分散・積立でコツコツ資産形成をしたい人にとって、非課税というメリットは非常に大きいといえます。デメリットを正しく理解したうえで使えば、NISAは有力な資産形成の手段になりえます。
ではメリットデメリットを理解した上で「自分はNISAを使うべきか?」という疑問に答えるために、向いている人・慎重にすべき人をまとめます。
NISAはあくまでも投資です。「誰にとっても絶対にプラスになる魔法の制度」ではありません。シミュレーションや運用益が非課税といった言葉を鵜吞みにし、必ずプラスになるとは限りません。リスクを理解した上で長期・分散・積立でコツコツ増やしたい人にとっては相性がよい制度です。上記の「やめた方がいい人」に当てはまる場合は、まず家計の基盤を整えることを優先しましょう。
最後に、この記事の要点をおさらいします。
詳しい制度の説明は、よくある質問:NISA特設ウェブサイト:金融庁へ
「NISAはデメリットしかない」は本当に誤解です。
制度の仕組みとリスクを正しく理解したうえで使えば、新NISAは長期の資産形成にとても役立つ仕組みです。まずは少額から、あなたのペースで活用できるかどうか、一度検討してみてはいかがでしょうか。





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