監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム 取締役
CFPⓇ認定ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
100世帯以上の顧問FPをし、延べ相談実績は400回を超える。

「iDeCoに興味はあるけど、毎月いくら積み立てるのが正解なの?」「上限まで入れた方がお得なの?」「でも60歳まで引き出せないのが怖い…」。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
iDeCoは掛金が月5,000円という少額から始められる制度です。掛け金の上限は勤務先の企業年金の有無等によってそれぞれ異なります。また最適な掛け金は「家計の余力を判断→継続できる額の選定→NISA等他の制度との優先順位確認」という順番で考えるのが基本。節税効果は大きいですが、そこに意識を囚われすぎたり、やみくもにとりあえず上限までやる。ということは避けましょう。また掛け金は年1回まで変更できるので、まずは小さく始めて定期的に見直すというアプローチが現実的です。この記事ではFPの視点から、掛け金の決め方を丁寧に整理します。
監修者情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム 取締役
CFPⓇ認定ファイナンシャルプランナー/住宅ローンアドバイザー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
100世帯以上の顧問FPをし、延べ相談実績は400回を超える。
まず安心していただきたいのは、iDeCoは月5,000円から、1,000円単位で掛け金を設定できるという点です。「毎月大きな金額を入れ続けなければいけない」というわけではありません。
掛け金の月額上限は、加入区分と勤務先の企業年金の有無によって異なります。まずは下表で自分の区分を確認しましょう。
| 加入区分 | 具体的な対象者 | 月額上限 |
| 第1号被保険者 | 自営業者、フリーランス、学生など | 68,000円(※1) |
| 第2号被保険者 (企業年金なし) | 勤務先に企業型DC・DBがない会社員 | 23,000円 |
| 第2号被保険者 (企業型DCのみ) | 勤務先に企業型DCがある会社員 | 最大20,000円(※2) |
| 第2号被保険者 (DB加入) | 確定給付型年金(DB)に加入している会社員 | 最大12,000円(※2) |
| 公務員 | 国家・地方公務員、私立学校教職員など | 12,000円 |
| 第3号被保険者 | 専業主婦(夫)など扶養配偶者 | 23,000円 |
ただしiDeCoに加入できない人もいます。
国民年金に加入していない人
(例:海外居住で国民年金に未加入の人・任意加入していない人)
国民年金保険料を免除・猶予中で、追納していない人
※ 免除期間を追納すれば加入可能になるケースあり
75歳以上の人
※iDeCoは 原則65歳まで加入可で受給は最大75歳まで繰下げ可能
※75歳超は新規加入も運用も不可
老齢基礎年金を繰上げ受給している人
※繰上げ受給を始めた時点でiDeCoの加入資格を失います
※ すでにiDeCoに加入していても、以後の掛金拠出は不可
農業者年金の被保険者
※制度上の重複制限によりiDeCoには加入不可
会社員がiDeCoに加入する際、最も注意が必要なのが「企業年金との合算ルール」です。
勤務先に企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付型年金(DB)がある場合、iDeCoの掛け金は 「各制度の掛金の合計が一定枠内に収まるよう」設計されています。そのため、企業型DCの事業主掛金が多い場合、iDeCoに入れられる金額がゼロに近くなるケースもあります。
自分の上限が不明な場合は、以下の項目を会社の人事・総務部門に確認しましょう。
マッチング拠出を選択している場合は、同一制度内でiDeCoと併用できない場合があります。自分の状況を正確に把握したうえで判断しましょう。
「上限まで入れた方がお得では?」と思いがちですが、iDeCoには一つ重要な特性があります。
iDeCoは原則として60歳になるまで資金を引き出せません。
これは裏を返せば、「確実に老後のために積み立てられる」という強みでもあります。しかし生活費が足りなくなった、急な出費が必要になった、というときに取り崩せないことを意味します。だからこそ、掛け金は「節税を最大化する額」ではなく「家計を壊さずに続けられる額」を最優先に考える必要があります。
改めてここで、掛金の上限を振り返りましょう。
| 入区分 | 具体的な対象者 | 月額上限 |
| 第1号被保険者 | 20歳以上65歳未満の自営業者、フリーランス、学生など | 68,000円(※1) |
| 第2号被保険者 (企業年金なし) | 勤務先に企業型DC・DBがない会社員 | 23,000円 |
| 第2号被保険者 (企業型DCのみ) | 勤務先に企業型DCがある会社員 | 最大20,000円(※2) |
| 第2号被保険者 (DB加入) | 確定給付型年金(DB)に加入している会社員 | 最大12,000円(※2) |
| 公務員 | 国家・地方公務員、私立学校教職員など | 12,000円 |
| 第3号被保険者 | 20歳以上65歳未満の専業主婦(夫)など扶養配偶者 | 23,000円 |
ただしこれはあくまでも「上限」であって「最適解」ではありません。次のステップに則り掛け金を決めていきましょう。
iDeCoに入れる前に、緊急時に使える現金を手元に残しておくことが最優先です。最低でも生活費の半年から1年分を確保しましょう。
近い将来に大きな支出が見込まれる場合、その分はiDeCoではなく別途積み立てましょう。資産運用はリスクが伴います。いざ使おう思った時に、金額が足りない事態を避けるために現金で確保しましょう。
無理して積立をすることは厳禁です。毎月赤字になるなら、掛け金を下げるか、まず家計の見直しが先です。
iDeCoの掛け金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。収入が高いほど節税効果は大きくなります。ただし節税のために「無理な掛け金設定」をするのは本末転倒です。
NISAは途中で引き出しが可能です。老後までの資産形成はNISA、老後の資金としてはiDeCo等うまく組み合わせて検討しましょう。
以下はあくまでも目安であり、同じ年代でも収入・支出・家族構成によって最適額は大きく異なります。あくまで「考え方の出発点」としてご参照ください。
| 年代 | 掛け金の目安(例) | ポイント |
| 20代 | 月5,000円〜10,000円程度 | まず「続ける習慣」づくりが最優先。少額から始め、NISAを優先を検討 |
| 30代 | 月10,000円〜20,000円程度 | 住宅ローン・教育費が重なる時期。固定費に余裕がなければ無理に増やさない |
| 40代 | 月15,000円〜上限額 | 老後資金の優先度が高まり所得もあがってくる増額余地を意識して設計 |
| 50代 | 状況次第・慎重に設定 | 老後まで10年前後。教育費・住宅ローン残高を確認し、無理な増額よりも設計の精緻化を優先 |

最初から完璧な金額を決めようとしなくて大丈夫です。まずは月5,000〜10,000円程度の少額で始め、半年または1年後に家計状況や収入増加を見て増額を検討する、というアプローチが現実的です。
続けることがiDeCoの最大のメリットを引き出す鍵です。無理な設定で途中停止・放置になるより、小さな金額でも長く積み立てる方が、老後の資産形成に寄与します。
iDeCoで投資信託等を選んだ場合、運用成果によっては元本を下回る可能性があります。生活を圧迫するような掛け金設定は避け、無理のない範囲で継続することを優先してください。
「始めたら金額を固定しなければならない」「途中で変更出来ない」と思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。iDeCoの掛け金は状況に応じて柔軟に対応できます。
掛け金額の変更は、拠出単位期間(12月分〜翌年11月分)内で年1回まで可能です。「収入が上がったから増やしたい」「支出が増えたから減らしたい」という場合は、このタイミングで手続きをします。
反映タイミングは金融機関によって異なります。一般的には手続き後、翌月〜翌々月に反映されることが多いですが、各金融機関の案内をご確認ください。
掛け金の拠出を一時的に止めること(停止)も可能です。停止した場合、その期間は掛け金が積み立てられませんが、これまで積み立てた資産は運用されたまま残ります。iDeCoを「解約して引き出す」とは異なりますのでご注意ください。
iDeCoでは、毎月定額で拠出するほかに、「年単位拠出」として月ごとに異なる金額を設定することも制度上可能です。ただし、企業年金に加入している会社員や公務員は、月別指定を選べず毎月定額のみとなる場合があります。詳細は加入している金融機関にご確認ください。
Q:今月払い忘れた。来月まとめて払える?
A:基本的にできません。未納分を翌月以降にまとめて払う(追納)の仕組みはiDeCoにはありません。これが「無理のない掛け金設定が重要」と言われる理由の一つです。
Q:収入が一時的に減った場合はどうすればいい?
A:年1回の変更タイミングで減額、あるいは拠出停止の手続きを取ることができます。「続けられなくなってから慌てる」より、早めに対応することをおすすめします。
Q:途中で引き出せますか?
A. 原則できません。60歳まで引き出せないのがiDeCoのルールです。
最後に、この記事のポイントを整理します。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品や運用方法を推奨するものではありません。iDeCoへの加入・掛け金の決定にあたっては、各金融機関や専門家(ファイナンシャルプランナー等)にご相談のうえ、ご自身の判断でご検討ください。





FP情報:芳川 宏輔

株式会社ウィンカム
CFPⓇ認定ファイナンシャルプランナー
金融商品・保険商品を一切販売せずコンサルティングに徹するFP。
保険・住宅ローン・資産運用・NISA等サポートは多岐に渡る。
年間200回以上の面談を実施し、延べ相談実績は1000回を超える。

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